オーケストラアルバムを除けば7年ぶりとなるBlind Guardianのスタジオアルバム。期待半分不安半分といったところでしたが、Youtubeの先行発表曲を聴いていてあまり過度な期待はしない方がいいかなと思いながら発売を待っていました。一周目聴いた時には驚くほど無味無臭。90年代のスピードとアグレッシブを取り戻したとありますが、Tales from the Twilight WorldアルバムやFollow the Blindアルバムほどの疾走感はありませんし、なにより初見で耳にハッと残るメロディがほぼありません。そして後期ブラガ特有の壮大なオーケストレーションは紹介通り（あまりよろしくない意味で）オミットされており、At the Edge of TimeアルバムのWheel of TimeやBeyond the Red mirrorアルバムのGrand Paradeのように練りに練られた複雑な構成の中からググッと盛り上がるような壮大な楽曲というのもなし。どこでどう聴けば盛り上がれるのか全く分からないというのが率直な感想でした。唯一Blood of The Elvesがなかなかの疾走感でかろうじて耳に残る感じでしたが。ただ二周目、三周目とボリュームを上げてヘッドホンで集中して聴き始めると、フレーズの一つ一つはクオリティは高く、その積み重ねで構成される曲の良さというのを掴めるようになってきました。（作業片手間に聴くとすぐに耳を通り抜けてしまいますが）総じて結構聴きこまないと良さがわかりづらいアルバムかなと。ブラガらしいといえばらしく、逆になんだか今までのどのアルバムともちょっと毛色が違うとも思える、不思議なアルバムです。レビューを書くうえである程度聴きこみはしたのですが、恐らくこれからも聴くうえで新しい発見があるだろうと、そういった期待を抱かせてくれる作品だと思います。なかなか過去の数ある名曲を凌駕するような曲・アルバムが出てこないのにはヤキモキするところもありますが、大御所としての楽曲的なクオリティの維持は変わらず流石ですので、このアルバムもまた長く楽しみたいと思います。ちなみに私が購入したのはデラックス・エディションですが、ボーナストラックの3曲は既収録曲のアレンジですし、インストCDはオフボーカルなだけですのでその辺りに興味が薄い方は通常盤でも十分かと。